カラダと健康 〜 代謝とホルモンのはたらき
人間のからだは、生活し活動するためには食物を摂取し、これを栄養源として消化管より吸収しなければなりません。この吸収された栄養源は、摂取されたたんぱく質、脂肪、糖質が消化液によって分解されたものですが、
これらが肝臓や脂肪組織、脳、心臓、肝臓などでうまく利用されエネルギーとして利用される過程を代謝と読んでいます。
これには細胞内または細胞間の微妙な調節にあずかる酵素ならびに、これらをさらに別の面から作用して協調し、
全体的にオーケストラのように統括的にホルモンと神経系がはたらいて、はじめて生体はじょうずに生存しているわけです。
このように生体の内部環境は、ある程度一定の恒常性(ホメオスターシス)が保たれることが絶対に必要であり、
ここにもホルモンと神経系は密接な関係のもとにはたらいています。
内分泌とはホルモンの分泌のことをいいます。
従来は、ホルモンは内分泌腺と呼ばれる特殊な構造をもつ器官、あるいは組織から、血液またはリンパ液に
直接入って、ごく少量で、よくほかの器官にいろいろな作用を及ぼすものを指していました。
現在では、神経伝達に関与するホルモンのように、その局所での役割を果たすものや、異なったホルモンを分泌する
細胞と細胞が隣り合っている場合には、細胞と細胞間のつながりを介して作用を及ぼす可能性もあり、ホルモンの
概念が非常に広く、また変わってきました。
現在わかっているもっとも複雑な系は、神経あるいは神経内分泌液的機序により
次々と連鎖的にホルモンが分泌される系です。
たとえば甲状腺機能をとってみても、この系には上位脳中枢、視床下部、下垂体、甲状腺が関与しています。
現在、内分泌腺のおもな器官としては、視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、胸腺、膵臓、消化管、卵巣、睾丸、
副腎、腎臓などがあります。しかしいままで臓器特有と考えられたホルモンが必ずしも一器官のみでなく、脳、消化管などに
一般に広く存在することが認められるようになりました。これらがどのような役割をしているのか、まだあきらかではありません。
カラダと健康 〜 五臓
はたらき
心臓は血液を循環させるポンプの役割をしています。肺で酸素をもらった血液を心臓は肺静脈から吸い上げ、大動脈を通してからだのすみずみに送り出します。
送り出された血液中の赤血球のヘモグロビンは酸素と結合し、体中に酸素を運びます。
そして細胞に酸素を与え、ひきかえに炭酸ガスを受け取って、再び心臓に吸い上げられ、
肺に送り返されます。
肺に到達した血液は、炭酸ガスを肺細胞内に放出し、酸素を受け取り心臓にもどっていきます。
病気
虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
はたらき
肝臓は消化管から吸収されたあらゆる栄養物を門脈を経て集め、これをからだに供給するだけでなくいろいろなはたらきがあって、生命を保つうえにまことに重要な臓器です。
大事なことを「カンジン」といいますが、カンは肝臓の肝、ジンは心臓の心、あるいは腎臓の腎と書く
こともあるほどに大切な役割を担っています。
その働きの主なものには次のようなものがあります。
1. 糖質、脂肪、たんぱくなど、腸管から吸収されたものを、からだで使用するのに都合の良い状態に変化させます。
2. 外界から入ったり、からだのなかでつくられた有害なものを解毒するはたらきがあります。
3. 肝臓は、からだ全体の水分の配分、水分の保持に作用を及ぼします。また、塩類(無機物)のうち、
からだに必要なものを取って、そのなかにたくわえたり、不必要なものを胆汁中に排出するはたらきがあります。
4. 胆汁をつくってこれを分泌します。胆汁は、膵臓から分泌される酵素に作用して、志望の消化に重要な役割を
果たすほか、胆汁中の胆汁酸という成分は大腸のはたらきを強めるはたらきがあります。
大便が黄色であるのは、胆汁中に含まれる色素のためです。
5. ある種のビタミンを活性にしたり、たくわえたりするはたらきがあります。悪性貧血に対抗する物質(ビタミンB12や葉酸)
も含まれています。また止血に関係する物質もつくります。
このように数え上げると、肝臓がいかに重要な臓器であるかが分かると思います。
病気
ウィルス肝炎、肝臓ガン、脂肪肝、肝硬変、アルコール性肝障害
はたらき
腎臓のはたらきについて述べます。1. 腎臓のもっとも大切なはたらきは尿をつくることです。尿は糸球体でつくられます。
糸球体の毛細血管の壁には規定膜という一種の篩い分け装置があり、水やナトリウム、カリウム、尿素、
ぶどう糖、など分子量の小さな物質は通過させますが、血液中のたんぱく質や赤血球など分子量の大きい物質は
通過させない仕組みになっています。
糸球体では一日に180リットルもの水が濾過されますが、実際に尿として排泄されるのは、一日わずか
1〜2リットルにすぎません。これは、尿細管を通貨するうちにほとんどの水が再吸収されてしまうためです。
健康な人が水をたくさん飲むと、薄い尿をたくさん出し、水を制限すると、濃い尿をすこししか出さないのは、
体内の水分の量を一定に保つように、尿細管での水の再吸収がたえず調整されているためです。
2. 腎臓は、体内のたんぱく質の分解産物を排泄します。からだのなかのたんぱく質はたえず合成され、
分解されていますが、その分解産物(老廃物)は糸球体から尿として排泄されます。
したがって、糸球体に病気が起こると、たんぱく質の分解産物である尿素、クレアチニン、尿酸などの窒素を含む物質が
血液中にたまってきます。
3. 腎臓は、からだのなかの電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど)の組織を一定に保つはたらきをしています。
腎臓のはたらきが低下してくると、体内に食塩(ナトリウムと塩素)が余分にたまり、
むくみを生じたり、血液中のカリウムの濃度が高くなって心臓や筋肉の障害を起こしたり、また血液中の
カルシウム濃度が低下して筋肉のひきつれが起こったり骨がもろくなったりします。
4. 腎臓は、からだのなかの酸性度を一定に保つ働きをしています。
健康な人の体液の酸性度(pH)はわずかにアルカリ性ですが、腎臓のはたらきが低下すると、
酸性に傾いて(これをアシドーシスという)、からだに不利ないろいろな反応を起こします。
5. 腎臓はビタミンを活性かしたり、ホルモンをつくったり、ホルモンが作用する臓器です。
ビタミンDは腎臓で活性型となり、はじめてその作用が発生します。
腎臓は、摂家急を作るのに必要なエリスロポエチンや血圧を調整するのに必要なレニンを作ります。
一方、腎臓に働く重要なホルモンに抗利尿ホルモンとアルドステロンがあります。
抗利尿ホルモンは、尿細管に作用して水分の再吸収を促進し、
アルドステロンも尿細管に作用してナトリウムの再吸収を促進します。
病気
高血圧、痛風、腎炎、ネフローゼ症候群、腎盂炎、排尿困難・残尿感、腎不全・尿毒症、尿路結石
はたらき
脾臓は左上腹部にあって、ふつうは肋骨のしたに隠れています。重要な臓器ですが、手術で取り除いても、からだに特に不都合を起こしません。それは骨髄その他が変わりにはたらいて
くれるからです。脾臓には、血球を作るとともに、血液を貯蔵し、また不要になった赤血球をこわす作用もあります。
血液中に入った細菌など異物をとらえて処分したり、細菌に対する抗体をつくりだします。
最近、がんに対する抗体もつくり出す、あるいは逆に抗体を壊すなどいろいろ言われています。今後の研究が待たれます。
血液凝固因子の一つである第[因子をつくります。
重さは健康成人で75〜100gありますが、年齢とともにいくらか減少するようです。
脾臓はからだのなかでもっとも血管の多い臓器で、一日に350リットルの血液が通過しています。
はたらき
ひとの肺には億の単位で肺胞というきわめて小さな風船のようなものが存在します。吸い込まれた空気はこの肺胞を膨らませます。
肺胞は肺毛細血管という細い血管にとりかこまれています。
肺胞をふくらませた空気中の酸素は、わずかな組織を隔てて毛細血管中を流れている血液に移っていき
赤血球のヘモグロビンにくっつきます。
それと同時に、血液中の炭酸ガスは細胞内の空気中へと逆方向に移っていきます。
この酸素の少なくなり、炭酸ガスの多くなった空気は、肺胞から逆の通路を辿って、鼻や口から吐き出されます。
そして新鮮な空気を再び吸い込むのです。
この吸って、吐いてを1分間に数十回ずつ絶えず繰り返しながら、人間は生きているのです。
病気
肺炎、肺結核
カラダと健康 〜 六腑 (胆、胃、小腸、大腸、膀胱、三焦)
はたらき
胃では胃液が分泌されます。胃液には消化酵素のペプシンと、塩酸とが含まれ、食物中のたんぱく質を消化し(溶かし)、
吸収されやすい状態にして十二指腸に送ります。
胃からきた酸性の食物が十二指腸壁にさわると、壁からセクレチンとパンクレオザイミンというホルモンが血中にでます。
これらホルモンの働きで、胆汁と膵液とが送り出されてきます。
胆汁は肝臓でつくられ、胆嚢にたくわえられ、パンクレオザイミン作用で胆管を経て十二指腸に送り出される消化液です。
セクレチンの刺激で膵臓から重曹水が出て食物を中和します。
またパンクレオザイミンは、膵臓から炭水化物を消化するアミラーゼ、脂肪を消化するリパーゼ、たんぱく質を消化する
トリプシンなどの消化酵素を出させます。
これらのはたらきで食物は消化され、空腸と回腸とから成り立っている小腸に送られます。
小腸でさらに腸液が加わって、栄養物の大部分は分子にまで分解され、小腸で吸収されます。水分もまた吸収されます。
小腸での吸収量は大腸の七倍にも及びます。小腸はこのように消化吸収の中枢といえます。
したがって、消化液の分泌をコントロールするホルモンを出したり、細菌などが入ってきたとき抵抗する
免疫グロブリンをつくったりします。
胃ではアルコール以外ほとんど吸収しません。小腸は7〜9m以上もあり、内壁の表面積は200u以上になります。
小腸の最後は大腸の横から大腸に開口しています。
大腸は、右下腹部からはじまって右上腹部に達し(上行結腸)、腹のなかを横切って左上腹部にいたり(横行結腸)、
腹の左側を下に向かって下り(下行結腸)、さらにS字型に曲がって(S状結腸)、そのあとまっすぐにくだり(直腸)、
肛門に終わります。
上行結腸の下端で、小腸が横のほうから開口している部分から下を盲腸といい、
その先端にミミズのようなかたちでくっついているものを虫垂といいます。
大腸では食べた物の水分がしだいに吸収され、だんだんかたくなって、結局糞便となり、肛門から排出されます。
食物を食べてから肛門に達するまでの時間は、ほぼ9〜20時間です。胃に食物のある時間は二時間から数時間です。
消化管とは、口から肛門まで、食物の通る経路をいい、消化器とは消化管のほかに、肝臓、膵臓を含めたものをいいます。
なお、肝臓は消化を助ける胆汁を分泌する作用のほかに、消化管から吸収された栄養物を処理する作用、
つまり糖類をグリコーゲンとして貯え、必要に応じて分解して血液のなかに出したり、たんぱく質の分解産物をからだから
排出できるかたちにする作用があります。また、毒物を解毒する作用もあります。
膵臓には、消化に必要な膵液を分泌するほか、糖尿を抑えるインスリンを分泌する作用もあります。
病気
胃炎、胃弱・消化不良、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、アレルギー性腸炎、胃酸過多症、胃アトニー・胃下垂、過敏性腸症候群、クローン病、虫垂炎(盲腸)、便秘、下痢
カラダと健康 〜 病気について
花粉症(アレルギー性鼻炎)痛風
冷え性
更年期障害
夏バテ
生活習慣病
がん糖尿病
高脂血症
高尿酸血症
高血圧
脳梗塞
生活習慣と食生活からくるその他の病気
腎不全 | 腎炎 | ネフローゼ症候群 |
腎盂炎 | 排尿困難・残尿感 | 尿路結石 |
腎疾患 | 動脈硬化 | 狭心症 |
心筋梗塞 | 大動脈瘤 | 脳出血 |
心肥大 | 胃炎 | 胃弱・消化不良 |
胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | アレルギー性腸炎 | 胃酸過多症 |
胃アトニー・胃下垂 | 過敏性腸症候群 | クローン病 |
虫垂炎 | 便秘 | 下痢 |
ウイルス肝炎 | 肝硬変 | アルコール性肝障害 |
脂肪肝 | 肺炎 | 肺結核 |
糖尿病性神経障害 | 糖尿病性網膜症 | 糖尿病性腎症 |
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